超高速学習とは
学習内容の設計難度を低く抑えることで学習速度を速くすることができる。
超高速学習法は設計難度を限りなく「0」にすることで達成できた学習法である。
超高速学習の開発により従来の学習法に変革がもたらされるかもしれません。
超高速学習法の理論(超低速学習法)
超高速学習の目的は個教育時代に求められる学習方法を提供するとともに学習者の知の財産を蓄積することにある
※項目8、9、10、11、15、16、19は講座で公開します。
みんなでつくる超高速学習材の開発に参加する
1 「数学検定」構成時代の経緯
本論は数学に関する「難しい・易しい」の論点を集約して、「難易度は時間の関数である」という視点から論稿したものである。
1988年時点のPETでの研究成果は、
(1) 計算問題を適度の速さで行っている時は脳の活性領域が全脳的である。
(2) 応用問題を思考しているときは脳の活性血流領域がほとんど観られない。
この2点から、数学の問題に対する学習時の脳のはたらきは大きく異なっていることが分かる。しかるに、計算問題と応用問題の検定試験を2つに分けて評価するべきであると考えられた。
一方、計算問題でも1回計算の易しい問題から複数の計算が組み合わされた複雑な計算問題や抽象的計算問題がある。その意味で、受検者にとっては難しい問題と易しい問題があることも事実である。そこで、数学検定では、「難しい・易しい」の表現を排除し、この問題を合理的に論ずるために、前提条件として、「難しい・易しいは時間の関数である」として問題解決にあたることになった。
その結果、数学検定は「実用数学技能検定」として改名されて、数学技能を、「だれもが一定の時間をかけて練磨すれば目に観えて向上する数学的知識・技能」と定義し、公教育である学校に普及させていくことになった。超高速学習は難度sの理論から観えてきた次代の学習法である。
2 私教育から個教育の時代へ
私立の学校や学習塾など私教育の役割は時代の推移と共に大きくなり、多くの人が大学で学ぶようになった。そして今日いよいよ個教育の時代を迎えることになる。
それは、ネット社会の充実とWeb情報の発達で、だれもが家に居ながらにして個人の興味に基づく知識・技能を自由に修得できる社会環境が整ってきたからである。
このような時代にあって、公教育は権利と義務の教育環境、私教育は選択と結果の教育環境に対し、個教育は自由と責任の学習環境にある、とその意義も明確になっている。
3 個教育時代の学び
リメディアルやリカレント教育に代表される学び直しや高齢者を含む学習環境には、学習時間を充分に取れないことや学習場所の制約が付きまとう。また、学習者の技量の幅や興味関心には大きな隔たりもある。このような場にベストとはいえないが、うまく適当する学習法、超低速学習法と超高速学習法を提案するものである。
AIの活用社会にあって、教える環境も然りであるが、それよりも学び方が変わる、という点が知るべき最大の問題である。世界の人の学び方が変わるということは、教育の場も学習内容も変わらざるを得ないということである。
個教育時代の学び方は自ら学習コンテンツを創りながら進める学び方にヒントがある。
4 課題の「難度」
①「難しい・易しいは時間の関数である」、この前提を課して、どのように「難しい・易しい」を数値化するかを考えてみる。
②難しい問題解決には時間がかかり、易しい問題解決は短時間で済むということは公理である。
③そこで、問題解決時間を秒(s)で捉え数値化の手掛かりとして、これを「難度」とする。5秒で解決する問題の難度は 5s である。20秒で解決する問題の難度は 20s という具合である。
5 設計難度
ある問題に対し1回計算の難度を 5s, 2回計算の難度を10s・・・ と定義する。また、1行(40字から45字程度)の読取難度を 10s と定義する。
これらの論を進めるために定義された難度を「設計難度」という。
6 設計難度の事例
設問を読み取るための難度・・・読取難度
解答に必要だと想定する難度・・・解答期待難度
これらを合計した難度・・・設計難度
7 実践事例
理科検定とリメディアル診断テスト
12 知識・技能の定着
学習要素を音声で聴いて、対応する図が思い出せるようになった時点で学習要素が定着したと結論できる。むしろ、瞼を閉じて対応する図を思い出せるようになるまで、超高速学習を繰り返して個々の学習傾向をつかみ、個人対応の学習材を構成することが個教育の時代に求められている。
学校教育の下で、学習内容を耳にする機会は先生の声によるものであった。それは何回もない。つまり、学校での集団教育では耳で聴いて学ぶ機会は少なくその経験値はあまりにも小さかった。日本人のほとんどが、その低い経験値の上に成っている。
超高速学習法は将にここに焦点を合わせ、聴いて学ぶ学習環境を徹底的に推進していこうとするものである。聴くことを繰り返し、観ることを繰り返し圧倒的な経験値の向上を図る。
13 超低速学習法
超低速学習の基本理念は、自分の脳と他の人の脳を共調させて新たな知の財産を創造をしていくことにある。つまり、超高速学習の目的とする1つの学習法である。
興味を失い、学習意欲もない人に対して超高速学習法が効果を発揮する1つである。
興味を持たない人でも、学習意欲のない人の凄さと価値を見出す活動を超低速学習法と称するもので、これはシステムではない。学習難度が極端に高い条件下で学習を進める方法である。
超低速学習法は自ら学ぶ対象の学習材を自ら創りながら進める学習法である。
14 T-expression の目標
日本で数学嫌いが社会問題として喧伝されていた1990年代に「数検」は普及したが、数学を知るもののみが数学の美しさを知り得る、との観方が一般的であった。しかし、高速道路が敷設され、そこを高速で走行する運転者は、運転を専門とするものも運転初心者であっても共調しながら利用しているように、ネット社会はソフトウェアを活用して、かつては数学者しか表現できなかった内容をいとも簡単に表現し、だれもが数学関連の会話に参加できる環境下にある。
数学嫌いの人たちにもT-expression の美しさは受け入れられている。数学が美しいとする一端を表現し魅せることはT-expression の1つの目的である。
17 学び方が変わる
われわれが認識しなければならないことは、教育難度や学習難度の値が小さくなった個教育の環境が整いつつあるという点にある。
例えば、数学を例に挙げると、これまで授業の形態で行ってきた学校数学は、software の発達でAIを備えたロボットがあれば、あっという間に解決してしまう。
この事例には2つの段階がある。1つは自分ができないからsoftware を使う。Software を使えないからAI に頼る。結果として本来自分の目的とする事項を表現するなり、とにかく、前に進む。20世紀型の指導者からすると幾許かの危うさを感じるかもしれないが、全く心配いらない。その主人公は学習難度を極力0にして行動したに過ぎないのであるから。主人公は高速道路を使ったまでで、一般道より高速道路のほうが走り易かっただけの話である。高速に目は慣れる。
18 超高速学習の副次効果
この副次効果は高齢者ほど大きな効果が出る。超高速学習の難度は限りなく0に近い。難度が0だからだれでも学習可能である。
0歳の子どもの学習対象は全て難度0だから、どんな学習内容でも抵抗なく自分に取り入れることができる。だから、0歳の子どもと高齢者は近い立ち位置にいる。
一般を対象に観た場合、学習難度を0に近づけて学ばせるか、学習者が幼児や高齢者の立ち位置に立つか、いずれでも超高速学習の効果が得られる
価値を考えてみると分かるが、負の価値の存在を理解することも重要である。極めて人間臭いものに判断基準を変える操作がある。負の価値を価値あるものと見做すこと。これまで、マイナスと観られていたことでも基準をどこに置くかで、プラスの価値として認識できるようになる。数直線上の-4でも基準を-7にすれば+3になる。
高齢者がかつて経験した内容を超高速で追体験させると、ものの見え方が変わってくる。ボーッとしていた対象が克明に見えるようになる。視神経がハッキリと対象を捉えるようになる。超高速展開を観ていると、同じものを高速展開するとゆっくりしているように見えてくる。
速聴結果も速読と同様に脳がものを把握する力に変化をもたらす。聴くスピードを高めその聴き取りに慣れてくると、これまで体験していた会話のスピードが遅く感じるようになる。このような実践的活動の結果にコミットしている点も超高速学習の一面である。
超高速学習は高齢者の脳の活性化にも役立つ。
20 わけあり学習
超高速学習法には「わけ」がある。「わけあり学習」である。超高速学習はわけあり学習であり個教育の要素技術となる安心学習である。
わけがある1
今の子どもたちにはわけがある。とにかく速いというわけがある。ネット社会に生きる速さの中で育っている、ゲームで鍛えられた速さを身につけている。
これをプラスの価値に転換する。超高速学習で今の子どもたちに相応しい学習法を提供する。読み聞かせは易しい教育法です。
わけがある2
科学の発達で経済圏が宇宙にも広がってきた。学習内容も多様になり知識・技能の質も量も変わってきている。超高速学習は個教育の学習の場を一変する可能性がある。
21 超高速学習の組み立て
超高速学習は速聴・速観・速理・速現から成る。
耳を澄まして聴く速さを高め、もののかたちを観る速さを高め、理解する速さを高め、表現する速さを高める学習段階がある。各位の経験値によって、各位の最も適する超高速学習の仕組みを把握・確立し、知識・技能の定着を図ることが肝要である。
速聴・速観の経験値が高まると脳の反応速度が高まりものの見え方が違ってくる。聞いて身につけた事柄は速観によって、納得のいく理解ができる。納得のいく理解の経験値が高まると、理論的表現可能な知識・技能が高まり、新たな情報を構成する力がつくとともに知の財産が蓄積される。
22 理解・表現(アウトプット)
学習内容をどのように生かすか。
内容を理解する・理解していることが前提となる。
23 理解の段階
速読や速聴は観た情報や聴いた情報をそのままに伝えたり伝達するかたちである。このような合同伝達は大きなエネルギーを使う。表現難度が高い。
超高速学習法はエネルギーが小さくて済む相似伝達を基本とする。表現難度は低い。
24 相似伝達
自分が理解したままにイメージで表現する方法である。自分の感性に応じたイメージスキーマを基本にして学習内容を理解・表現する。
学習内容を関係図として表現できればその内容を理解しているのである。